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【後編】福岡工業大学 高原教授に聞く『工学系統の研究者・技術者に求められる人物像と今後の展望』

前編では、環境負荷の少ない燃料電池として、「活性化アルミ微粒子」から水素を取り出す装置について研究をしている福岡工業大学工学部電気工学科の高原健爾教授に、水素発生装置の特徴や実用化、そして課題点などをお聞きしました。引き続き後編では、エンジニアとして働く心構え、そして就職について高原教授にお聞きしたいと思います。

“地道な努力”と“様々な経験”がエンジニアにとって大切

Q:工学系統の研究者・技術者にはどういった能力や人物像が求められるのでしょうか? 高原:コミュニケーション能力もさることながら、やはりコツコツやることが何よりも大事といえるでしょう。中途半端に先を見ずに、日々の研究・開発をコツコツ積み重ねることがエンジニアには大切だと思います。

実際、「それをやって何の意味があるの?」などと言われることもあります。ですが、数年先程度では役に立たないかもしれませんが、ひょんなことから別の研究に結び付くこともあるんです。その成果がどんなきっかけで役に立つかは、誰にもわからないことですから。そのため、コツコツとひたむきに取り組める能力・人物像が、エンジニアに求められると思います。

Q:教授自身がこの道を選ばれたのは、どういった理由があったのですか?

高原:研究を続けているうちに、現在のところにたどり着きました。
大学受験時は農学部への進学を希望していたのですが、第一志望に落ちてしまったんです。そのとき、すでに進学が決まっていた友人が、福井大学の二次募集の願書を持っていたため、それをもらって受験したことが最初のきっかけですね。電気工学科へ進んだのは、募集が多かったことが理由なんです。ちなみに高校の時は、物理は苦手で、中でも電気は特に嫌いでした。

それから修士までは福井大学の電気工学科にいたのですが、博士課程からは東京医科歯科大学へ進学して、医学研究科で研究を行っていました。専攻は生理学で、人工呼吸装置の制御をテーマにして、重篤な患者の呼吸装置の自動調整システムを目指していましたね。

その後、室蘭工業大学で電気電子工学科の助手として採用され、色々と紆余曲折があり、現在のテーマに取り組むことになりました。以来、エネルギー関連に取り組んでいるのですが、大学院で身についた「医療系の視点」が時折役に立つこともあるんですよ。そういった意味では、様々な経験を積むことも、エンジニアには大切なのかもしれませんね。

双方のミスマッチを防ぐことが就活のカギ

福岡工業大学 工学部 電気工学科 高原健爾教授

Q:学生の就職支援についてお話をお聞かせください。

高原:基本的には就職課の窓口にいる優秀なスタッフが頑張ってくれているので、学生から相談があったときに対応するような形です。推薦のご依頼をいただいている企業様を見て、その学生に適正があれば紹介したりします。

あとは、3年生向けに業界研究会を開き、数社を招いて講演の機会を設けています。ネームバリューや思い込みだけで選んでほしくはありませんからね。やはり長く勤められることが、本人にとっても会社にとっても良いことですから、きちんと適性を見極められる機会を渡してあげたいと考えています。

Q:福岡工業大学は九州私大でNo1の就職率ということですが、どういった取り組みをされているのですか?

高原:本学は、廊下を歩いていても挨拶をしてくれる学生が非常に多いのが特徴です。このことは、就職課が頑張っているだけでなく、教職協同で様々な取り組みをしていることの効果ではないかと思います。

学科としての取り組みは、コミュニケーション教育に力を入れていることでしょうか。やはり、エンジニアにとってコミュニケーション能力は大切な要素ですからね。はじめは私を含めた3人の教員でカリキュラムを組み、電気工学科だけで行っていました。その当時から授業公開は行っていたので、内外で評価されるようになり、現在では学科の垣根を越えて水平展開され、キャリア形成科目となっています。こういった部分でも、指導が根付いているのかもしれません。

また、私は、企業向けに自分の授業を公開しております。半年でお出でになるのは6社くらいと、あまり頻繁ではありませんが、企業の方からは好評をいただいていますね。教鞭をとる側としては少し緊張しますが、やはり学生の雰囲気を知っていただくには、実際に授業を見学してもらうことが一番ですから。学生向けに企業紹介をすることも大事ですが、学生の雰囲気を企業の方に見てもらうことで、企業とのミスマッチをなくす取り組みも大切だと思います。

“心が折れる”のは当たり前、大切なのは“折れたときにどうするか”

福岡工業大学 工学部 電気工学科 高原健爾教授

Q:SECエレベーターに対する今後の期待などをお聞かせください。

高原:本学からもSECエレベーターへ就職する者は多いですから、非常に注目していますよ。入社後しっかり育てていただき感謝していますし、卒業生が頑張っている話を聞けるのは何よりも嬉しいことなので、今後もいい関係を続けていきたいと考えています。

大学としては、さらに連携を高めて活動したいという思いがあります。具体的には、メンテナンスに必要な機器の開発などで協力し合えたら光栄ですね。我々はエレベーター業界のニーズ自体は知らないので、ぜひ声をかけていただければと思います。

また就職担当としては、一度は現場見学の機会をいただけたら幸いです。やはり、学生に現場を見せることが一番参考になりますから。そういった意味でも、今後もいい関係を続けていけたらありがたいですね。

Q:研究の今後の展望、可能性についてと、工学を志す学生に一言お願い致します。

高原:展望と言うより、とにかく役に立つものを作りたいです。もっというと、環境負荷を軽減するようなシステムを目指していきたいですね。もともと私が農学部を希望したのは、森林生態系を学びたかったことが理由ですし。

学生へ一言助言をするなら、「簡単に心を折らないように」と言いたいです。エンジニアという職は、やはり地道な作業の連続ですから、ちょっとしたことで心を折らずにいることが大切なんですよ。折れてしまっても、すぐに修復できるように努めてほしいですね。

心が折れることは「当たり前」だと思って、折れてしまったときは修復するすべを持つ、あるいは他人に修復してもらうこと。そういった意味では、ある程度は人に頼ることも身に着けてほしいと思います。頼り過ぎはいけませんが、人に頼るということはとても大切なことですから。

(プロフィール)
福岡工業大学
工学部 電気工学科 教授
学科就職担当

高原 健爾

■福岡工業大学
http://www.fit.ac.jp/

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