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働き方改革も遂に空へ?! 小型飛行機通勤も夢じゃない

働き方改革が叫ばれるようになって久しいですが、相変わらず解決していないのが通勤時のラッシュ問題。満員電車や車の渋滞に毎日巻き込まれ、朝からヘトヘトでは仕事の効率も何もあったものじゃありませんね。それが近い将来、SF映画のように“空を飛ぶ”という手段で解決されるかもしれないのです。 実は現在、各国のさまざまな企業がこぞって電動小型飛行機の開発競争に乗り出しています。 そこで、試験飛行の実験候補地に東京をあげた米国Uber Technologies社の「UberAir」を例にあげ、電動小型飛行機が普及することで通勤働き方がどう変わるのか、そのメリットなどについて紹介いたします。

生産性をあげるために解決したい「通勤ラッシュ問題」

さっそくですが、東京都に住んでいる人は通勤にどれくらいの時間をかけていると思いますか? 東京は交通網が発達していますし、面積もそれほど広いわけではありません。満員電車さえ我慢すれば、大して時間はかからないような気がしますよね。

しかしながら、総務省の統計によると東京都民の平均的な1日の通勤・通学時間は94分(10歳以上の通勤・通学をしている人の平日平均)というデータが出ているのです。年間休日を120日とすると、1年で通勤に費やす時間は約384時間。なんとまるまる16日間を通勤の時間として消費している計算となるのです。

しかもこれは日本に限った話ではありません。例えば、サンフランシスコも同様で、年間230時間(1日あたり1時間弱)もの時間を通勤に費やしているという報告が上がっています。経済学的に見ると、これはサンフランシスコ全体で毎日50万時間以上もの生産性が失われているとのことです。それも、この調子でいけば今後さらに増大する見通しなんです。

日本はとくに激しいといわれていますが、海外の都市でも通勤ラッシュ時は道路や駅が混み合います。結果として平均1時間弱もの時間を通勤に割いている状態で、就業前からこんなことでは、仕事に対するモチベ―ションが低下するのはいうまでもありません。

そのような現状で、出社せずに遠隔地で業務を行う「リモートワーク」といった勤務体系の導入を進めている企業もあります。インターネットで完遂できる仕事ならこれで解決できるでしょうが、多くの業種では、実際には会社に足を運ばなくては仕事にならないのが現状です。

つまり、業務効率を向上させるには、通勤時間を短縮することも大切だということになります。通勤時間を短くできればプライベートの時間も多く取れるようになり、肉体的にも精神的にもリフレッシュできて、ストレスなく業務に取り組めるため、生産性も上がることに間違いありません。

通勤時間の問題を“空”で解決?! 240km/h超で巡航するエアタクシー「UberAir」

通勤時間の短縮を考えたとき、その答えは「空」にありました。単純明快ですが、上空であれば最短距離で移動できますし、地上ほど混み合うこともないですね。

そこで、各国のメーカーが開発に乗り出したのが「電動垂直離着陸車両(eVTOL)」という機体です。長々しい名前ですが、要するに垂直に離着陸できる小型飛行機ということですね。大型のドローンをイメージしてもらえるとわかりやすいかと思います。 なかでも、もっとも実用化に近いといわれているのが冒頭で出てきた「UberAir」と呼ばれるeVTOLです。

世界70ヵ国で、WEB・アプリを使った自動車の配車サービスを行っている米国のUber Technologies社が、新たなサービスとして構想しているのが、空飛ぶタクシー「UberAir」です。同社によると、空を飛ぶことで「通勤時間のロス」「環境汚染」「渋滞」「人口集中」などといった社会問題が解決でき、将来的には自家用車を所有するコストと競争できるレベルの料金で提供したいとうたっています。

UberAirについて簡単な性能をまとめたので、まずはこちらをご覧ください。

・駆動力:共回転ローター、プロペラ
・巡航高度:305〜610m
・巡航速度:241km/h
・最高速度:322km/h
・最大飛行距離:96.5km
・乗車定員:4人

参考データ:https://www.uber.com/ja/jp/

電力で稼働するため、いうまでもなくガソリン自動車よりも「環境に優しい移動手段」です。 乗り降り(離着陸)は、都市部の主要地点に設置されたスカイポートを利用する構想になっています。感覚としては、使用感は路線バスに似た部分があります。イメージとしては、バス・タクシー・ヘリコプターの中間といったところでしょうか。

今後は2020年までに飛行実験を開始し、2023年には商業運用スタート、2030年代には自動飛行を実現したいとの目標を発表しています。アメリカ以外には、日本を含めた5ヵ国(オーストラリア・ブラジル・フランス・インド・日本)が試験候補地として選定されており、新たな移動手段として成功を期待したいところです。

UberAirによる「働き方改革」

UberAirの現在想定されている最大飛行範囲は、1回の充電で100km弱。関東圏から東京駅までの移動時間で考えてみると、宇都宮・成田・水戸からは25分、鎌倉・千葉・相模原からは10分で移動できる計算になりますね。単純に考えて、関東圏のほとんどが通勤圏内に入ります。スカイポートから目的地までの距離が近ければ、都内で暮らしている人よりも、関東の端に住んでいる人の方が早く通勤できる可能性も出てきます。

UberAirが実用化すれば、郊外の、土地の安い場所にマイホームを建てて東京のオフィスまで出社するといった生活スタイルも夢では無くなるでしょう。 静かな土地に暮らし、通勤に費やす時間は数十分、なおかつコストが安く済むなど、UberAirがインフラとして浸透すれば、現在の交通手段も一変するかもしれません。

日本ではさすがに聞きませんが、海外では実際にジェット機で通勤している人もいるそうです。会社の重役ならではの手段ですが、通勤に片道4時間かかるというのです。ジェット機で片道500km以上移動するだけでなく、家から空港、空港から会社への距離もかなりあるためこのような状態になっているそうです。もし、UberAirのテクノロジーが今後さらに発展していけば、このような長距離間でも驚くほどの短時間で通勤が可能になる未来が訪れるかもしれませんね。

近い将来“空”が働き方を大きく変える?

生産性を高めるために、毎日消費される無駄な通勤時間を減らすことは非常に効果的です。世界でもトップクラスに長い通勤時間を費やしている日本人にとって、空飛ぶタクシーは救世主となる存在かもしれませんね。

Uberはすでに日本法人も立ち上げていますし、東京都ではeVTOLの導入に向けて着々と準備が進んでいます。もしかすると、私たちの「働き方」が大きくかわる日はそう遠くないかもしれませんよ。身近な話ではないので実感できませんが、新時代はすぐそこまで来ているのです。

(画像・動画提供:Uber)