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北欧のワークスタイルで、満員電車よさらば

在宅ワークが当たり前のノルウェー

毎朝満員電車に詰め込まれるようにして、同じ時間に職場に出勤する。そんなスタイルを過去のものにしてしまうのが、北欧のワークスタイルです。 ノルウェーでは、82%の企業がフルフレックスもしくはフレックス制度を導入しており、78%でリモートワークが認められています。そして、企業の93%が自社の生産性が高いと回答しています。 日本にもこのワークスタイルを取り入れる企業が増えてきている動きがあり、世界の例を見ながら、日本の事情と照らし合わせ、徐々に働き方が変わってきていることを紹介します。

残業や休日出勤は変わらないのになぜ生産性が高いのか?

日本の労働生産性は、19年連続で主要先進7ヵ国中最下位となっています。 2014年の日本の労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)は、72994ドル(768万円/購買力平価(PPP)換算)で、 OECD加盟国34ヵ国のうち、第21位となっています(出所:公益財団法人日本生産性本部(2015)「日本の生産性の動向 2015年版」)。2005年から21位の状況が続いており、主要先進7ヵ国で最も低い水準となっています。

労働生産性第2位のノルウェーと日本におけるオフィスワーカーの「働き方」に関する意識調査の結果も合わせて見てみると、ノルウェーでは93%が「自社の生産性が高い」と回答しており、日本は23%に留まっています。調査では、所属企業の労働生産性を「高いと感じる」または「やや高いと感じる」と回答した割合は、日本では23.4%、ノルウェーでは93.3%にまで達しています。

この高い生産性には、長時間労働が評価されず、早く仕事を済ませて帰宅するという姿勢が評価されるノルウェーの文化が浸透していることが関係しています。

ノルウェーでは、自らの業務を「自己判断で進めていく業務」であると回答した人は全体の約8割を占め、それらの人は「所属企業の労働生産性は高い」と回答する割合が高い傾向にありました。

反して、日本では「手順が決まっている業務」いわゆる「ルーチンワーク」とする割合が4割を超え、またその中でも、上司や監督者が管理監督する必要のある業務では、フレックス制度や在宅ワークが実態として導入しづらく、決められた日(主に平日)・時間に出勤をする形態が多くなっています。

また、ノルウェーでは業務の自由度の高さからフレックス制度や在宅ワークを認めている企業が多く、結果として休日出勤の頻度は日本を上回ることがわかりました。

ノルウェーで在宅ワークが浸透している背景には、第一に、仕事の時間がフレキシブルであるため在宅ワークの制度自体を導入しやすい環境にあります。そもそも、ノルウェーの人は、仕事より家族と一緒に過ごすことを大切にし、いわゆる日本で言う「ワークライフバランス」の概念と同じく、その時間を確保するために労働時間をアレンジするそうです。上司と相談しながら、生活に合わせて仕事の場所・時間を選べるというのが通常のスタイルのようです。夕方には家へ帰り、家族と過ごしたあと、1時間程度の業務メールやプレゼン資料の作成をする人が多いようです。

第二の理由として、組織がフラットであることが挙げられます。 ノルウェーはもともと人件費が高く、社員を管理するために人を雇うと、その分コストがかかってしまうため、管理職が社員の管理を行うという組織構造ではなく、社員自らが自分の管理を行います。 結果的にトップダウン的な組織に見られるような、上の人から指示されて作業を行うことは少なく、自分で判断し、自分の裁量で作業を進めるフラットな組織が多いようです。

このように、ノルウェーの高い生産性の背景には、もともと長時間労働が評価されず、早く仕事を済ませて帰宅する、いわゆる生産性で評価されるノルウェーの文化が浸透しているからこそ成り立つと言えます。この文化は、今見てきたように組織がフラットだからこそ根付いてるとも言えます。

さて、ノルウェー以外の国でも、同じような状況なのでしょうか。歴史的な背景から、労働組合が厳しく監視する北欧では、所定の時間内で効率よく働くことを第二次世界大戦後から求めはじめ、長時間労働を排除してきました。北欧では週40時間労働制の国がまだ主流であり、制度自体に日本との違いはないのですが、残業する概念がなく、最低5週間の有給休暇取得が法律で義務付けられています。なお、デンマークとノルウェーは平均して週33時間労働となっています。

ノルウェーのお隣のスウェーデンでは、1日6時間労働を取り入れています。理由は健康面の問題と、集中力の低下で生産量が下がるのを防ぐためです。 健康面の問題では、週55時間勤務の人と、週35〜40時間勤務の人を比べると、週55時間勤務の人のほうが脳梗塞のリスクが約35%高くなるという報告があります。また、集中力の低下による生産量の低下に関しても、労働時間が週48時間以上になると単位時間あたりの生産量が下がると指摘した論文があり、働く時間と集中力を持続することができる時間は、密接に関係しています。

日本の働き方も変わってきている?

日本でも徐々に、在宅ワークを取り入れる企業が増えてきました。2016年には、社員の増加にあわせて、物理的なオフィスをなくした企業も話題になりました。最近では、通信環境の向上やBCP対策(災害など不測の事態に直面した場合でも業務が中断しないための施策)の一環としても、在宅ワークを導入している企業が増えています。

北欧のワークスタイルの状況をそのお国柄に照らし合わせながら、見てきましたが、いかがでしたでしょうか。 日本でも、在宅ワークを取り入れる企業が増えてきているのも事実なので、満員の通勤電車とはお別れして、近所のカフェでコーヒーを愉しみながらお仕事をするスタイルも選択肢の一つになるでしょう。