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油圧式エレベーターの特徴とリニューアル時の注意点とは

ロープ式と油圧式


一般に使用されるエレベーターには駆動方式が大きく分けて2つあります。

現在ほとんどのケースで採用されるのは「ロープ式」と分類されるもので、ロープの片側にエレベーターかご室があり、反対側の端部には吊り合いおもりがあります。その中間に巻上機とモーターがあり、井戸のつるべのように片側を下げれば片側が上昇するようにしてエレベーターかご室を上下移動させています。

エレベーターの起源には諸説あり、アルキメデスが古代ローマ時代に考案したという説が一番有力で、人力や家畜の力を使って上下移動させていたそうです。

前述のロープ式エレベーターを人が乗るものとして実用化させたのは1850年ごろのエリシャ・G・オーチスという人物で、世界的メーカーOTISの創始者でもあります。

このロープ式エレベーターとは別の駆動方式で動くエレベーターが「油圧式」と分類されるエレベーターです。

現在ではエレベーターを新設する際にはほとんど採用されなくなった「油圧式エレベーター」ですが、今回はその特徴とリニューアル時の注意点について触れたいと思います。


油圧式エレベーターのメリットとは


現在では新設する際にはほとんど油圧式エレベーターを採用しなくなったと述べましたが、それではなぜ以前は油圧式エレベーターを採用していたのでしょうか。

油圧式エレベーターの最も大きい特徴として「屋上に機械室を置かなくて良い」ということがあります。

建築基準法などで「この土地には○階までの建物を建てて良い」と階数の上限が決められますが、ロープ式エレベーターを採用する場合には屋上に1階分の機械室を設けざるをえず、本来ならば5階建てのビルが建つところを4階までしか建てられない、という悩みがありました。

油圧式エレベーターには行程の長さに限りがあり、5階建以上の建物には不向きですが、3〜4階建のビルであれば問題なく、容積率/建蔽率を有効に使うために重宝したのです。

もっとも、機械室がなくても良いということではなく、ビル内の別の場所に機械室がなくてはならないので、油圧式ならば省スペース、というわけではありません。

また、油圧式エレベーターのデメリットとしては「スピードが遅い」「消費電力が高い」「油圧特有のオイルの匂いがする」などが挙げられます。

そして、ある技術の開発をきっかけに油圧式エレベーターが市場での優位性を失っていきます。

それが「機械室レス(マシンルームレス)ロープ式エレベーター」です。

1966年に、これも世界的なメーカーであるフィンランドの「KONE社」が開発したとされる製品ですが、最上階に必須で置かなければいけなかった巻上機とモーターを昇降路内の小さなスペースに設置することで、屋上の機械室が不要になりました。

油圧式エレベーターの最大のメリットであった「屋上の1階床分を有効に使える」という利点がロープ式でも採用できることになり、スピードが遅く、消費電力の高い油圧式エレベーターが優位性を失っていきました。

もっとも、マシンルームレスのエレベーターが日本で一般的になってきたのは1990年代から2000年代にかけてのことです。

つまり、1990年代くらいまでは普通に新設でも油圧式エレベーターが採用されていました。

地下鉄駅などで地上階と改札階を結んでいるエレベーターや、歩道橋の上下を結んでいるようなエレベーターでは特に油圧式の採用率が高かったかもしれません。

そして、その油圧式エレベーターが部品供給終了時期になっていて、リニューアルしなければいけなくなっています。


油圧式エレベーターのリニューアル


一般的には20年から30年くらいで製造メーカーは部品の供給をストップしますが、これはロープ式エレベーターでも油圧式エレベーターでも同じです。

ただし、ロープ式の場合はまだ代替製品が残っているケースが多いのですが、油圧式の場合はそもそもの設置母数が少ないために代替部品も少ないのが現状です。

ですので、ロープ式の古いエレベーター以上に、油圧式の古いエレベーターは故障したら最後、最悪の場合はそのまま動かなくなることも考えられます。

そこで、計画的にリニューアルを進めるべきですが、費用面と完全停止日数の長さが高いハードルとして立ち塞がります。

一般的なロープ式のエレベーターのフルリニューアルは数百万円から1千数百万円に収まることが多いですが、油圧式の場合はその2倍以上の金額がかかるケースがあります。

この時に、油圧式のエレベーターをロープ式(マシンルームレス)に駆動方式を変更するのか、油圧式のままでリニューアルするかによって大きく変わってきます。

駆動方式を変更する場合には「全撤去リニューアル」としてほぼすべての部品を昇降路から撤去して、新たにすべての機器を設置し直すことになり、数十日の日数がかかることが一般的です。

油圧式の駆動方式のままリニューアルするほうが費用面も工事日数の面でもメリットがありそうですが、技術的に対応しているリニューアルメーカーはそれほど多くないかもしれません。

まずはエレベーター会社に問い合わせしてみることをお勧めします。

まとめ


油圧エレベーターの部品供給終了問題は、全国の多くの建物に影響を与える深刻な問題です。

エレベーターが使用できなくなると、建物の価値が大きく低下する可能性があり、そのような事態を避けるために、早めに対策を立てる必要があります。

まずは信頼できる専門業者に相談し、早急に調査を進め、適切な対応を取ることが重要です。

一般社団法人日本エレベーター協会–油圧式エレベーター


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