後編では学生との関わりの中で日々感じられていることや、就職活動に向けたお話をお伺いしていきます。
叱るのは嫌いだからじゃない
Q.先生は学生に対してどのようなイメージを抱かれていますか?全ての学生がということではないでしょうが、私が接する学生の多くが叱られることに慣れていないのは日々感じています。
慣れていないから、叱られた時に次への繋げ方がわからないのかなと。
だからと言って褒めてばかりはいられないので、叱らなければならない場面ではきちんと叱ります。
すると、嫌われているから叱られるんだと認識して落ち込む学生が一定数いるんです。
決してそんなことはないんですけどね。
社会人生活にも影響する部分だと思うので、叱られる方が幸せなことだと思って欲しいです。
一方で柔軟な考え方ができたり、新しいことを短時間で習得できたりする点はとてもいいなと感じています。
これはスマートフォンなどの普及による良い影響なのかもしれませんが、初めて取り組むことでもコツを掴むのが速いですね。
古いものや考え方に固執しないイメージがあります。
時には人に頼ることも大切
Q.就職活動でつまづきやすいポイントはありますか?就職活動については個別にサポートする動きを大切にしているので一人ひとりをよく見ていますが、つまづきやすい学生に共通しているのはスタートの遅さです。
心配性の学生は前もって色んなことを聞きにきますし計画的に就職活動を進めていくので、結果的にスムーズに内定が取れています。
「何とかなる」と楽観的に考えている学生は動き出すのが遅いので、どうしても準備不足になりがちです。
Q.どのように就職活動を進めていけばいいか、アドバイスをお願いします。
当校は就職率が100%ですが、それは就職試験を受けた企業に必ず内定を頂けるという意味ではありません。
希望する一社への就職活動をスタートさせて安心しないで欲しいです。
もしその企業に内定を頂けなかった時、他に何も準備していなかったら一気に遅れを取ることになりますから。
受かると思っていたのに落ちてしまうと、その分落ち込みやすいはずです。
複数同時進行している学生の場合、落ちることを想定しているので極端に落ち込まずうまく切り替えができているように見えます。
もちろん数が多ければいいということでもないですが、複数の企業に対して同時進行で就職活動を進めていく方がいいと思いますね。
いい意味で慣れることもできるし、自信がつく場面もあるはずなので。
就職活動では人に頼ることも大切です。
「自分でできるので就職課には行きません、先生にも相談しません。」という学生が時々います。
面接練習も受けず、エントリーシートも見せにこない。
そうするとやはり遅い時期まで内定を頂けずにいることが多いのです。
研究にも通じる部分ではあるのですが、間違った方向に進んだ時には早い段階で修正することがとても重要です。
こだわりが強くて人に頼らないタイプの場合、それができなくて苦労しがちだと思います。
自分だけの視点では気付かないことも多いので、就職課や先生に頼って就職活動を進めて欲しいです。
当たり前のことは当たり前ではない
Q.これから就職して社会へ出る学生に伝えたいことはありますか?面白いことは意外と身近なところにあるということ、常に向上心を持っていて欲しいということを伝えたいです。
物がどう作られるのかを知ることも面白いですし、実際に作っているところを見ると問題点に気付くこともあるでしょう。
課題をクリアするために問題はあるのですから、そこに気付くことができれば改善に向かうことができます。
気付くこと自体が仕事に関連していれば尚いいですし、そういった視点を持って改善を積み重ねていくと人生だってもっと楽しくなるはずです。
例えば家のリフォームをして物が良くなったりそれによって家事などの効率が上がったりすると、それだけで気分がいいですよね。
そう考えると楽しみはいくらでも見つけられるものです。
磁石にしても重力にしても、当たり前のように感じるかもしれませんがそれは決して当たり前ではありません。
よく考えたら身の回りに不思議なことはたくさんあります。
仕事でも日々の生活でも、当たり前のことに目を向けて改善するヒントを見つけていってくれたらなと思います。
家形 諭(やかた さとし) 助教 (プロフィール) 2010年九州大学 稲盛フロンティア研究センターの特任助教に就任。 2013年より福岡工業大学 工学部の助教に就任。 福岡工業大学 工学部 電子情報工学科 助教。 研究室紹介ページhttps://www.fit.ac.jp/sp/site/susume/lab/lab10