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同じ自動車大国でも全然違う!? 日本も見習いたいドイツの「働き方」

ヨーロッパ随一の経済大国であるドイツは、自動車をはじめ、機械・電子・化学製品を輸出することで経済が成り立ってきました。こういった産業構造、そして国土・人口などを見ると、国としての性質は日本に近いものがあります。



ところが細かい部分に目を向けると、その構造は似て非なるものなのです。昨今、「働き方改革」が叫ばれる日本ですが、そのヒントはドイツの働き方に隠されているのかもしれません。

ドイツは生産性の高い「労働先進国」

まずは、GDP(国内総生産)に見られる「日本とドイツの相違点」について分析してみましょう。

IMF(国際通貨基金)のデータベース「World Economic Outlook Database」によると、2017年における日本のGDPは4.873兆ドルと公開されており、2019年にはこれが5.070兆ドルに達するとの見込みです。一方、ドイツは2017年において3.700兆ドルと記録されており、2019年には4.029兆ドルまで伸びると予想されています。

各国のGDPを上から高い順に並べると、アメリカ、中国に次いで日本が第3位、そして第4位にドイツという順番です。一見するとドイツより日本のほうが優位に感じますが、もっと細かい点、例えば「国民一人当たりのGDP」などで考えてみると、違ったものが見えてきます。

日本の人口は1.26億人ですから、一人当たりのGDPは「38,674ドル」という計算。ところが、ドイツは0.88億人ということで、日本より3,000ドルも多い「42,045ドル」という数値なのです。この結果はすなわち、ドイツの生産効率が極めて高いことを意味しています。さらに驚くことに、ドイツでは就業者一人当たりの就業時間が、日本よりも25%も少ないというのです。

日本より25%も短い? ドイツの労働時間

ドイツの「働き方」

経済協力開発機構(OECD)が公表したデータによると、日本では就業者1人当たりの平均労働時間が年間「1,710時間」とされています。対してドイツは、日本より350時間も短い「1,363時間」という労働時間。

生産性を高めつつ、これほど労働時間を削減できたのは、ドイツ特有の働き方にポイントがあります。まず、労働時間に関する制度ですが、ドイツではこのようなルールがあります。

・1日10時間以上の労働を禁止
・残業した時間分を繰り越す

1点目ですが、ドイツでは管理職でない社員が、1日に10時間以上働くことが法律で禁止されています。さらに6ヵ月の労働時間が、1日平均8時間以上に達することも許されません。社員の超過労働が知られた場合、経営者は最大15,000ユーロの罰金、もしくは1年の禁固刑に処されてしまうのです。

そして2点目の制度ですが、これは「労働時間貯蓄制度」というのもので、残業時間を繰り越すことが可能です。簡単にいうと、2時間残業した場合、次の日は定時より2時間早く退社することができるのです。メリハリをつけて働くことができるため、業務が効率化できるほか、残業代のカットによって人件費削減にもつながります。残業時間がある程度貯まれば、これを有給として使うことも可能なので、非常に柔軟な制度といえるでしょう。

数週間の有給休暇はあたりまえ? ドイツにおける休暇の常識

有給休暇の話が少し出てきましたが、ドイツでは休暇の仕組みも充実しています。日本で付与される年次有給休暇は年間10〜18日程度が一般的です。消化率は50%といわれているので、実質的にはもっと少ないでしょう。

一方ドイツでは、年間で最低24日の有給休暇付与が義務付けられており、大半の企業は30日に定めています。加えて、消化率はほぼ100%なので、日本人よりも15日以上休むことができるのです。それも、まとめて2〜3週間の休暇をとることも珍しくないため、飲食店や個人病院が閉まっていても「ヴァカンスに出かけたんだ」と考え、けっして怒るようなことはありません。

また、日本では体調を崩して出社できないとき、多くの企業が自動的に有給扱いにすることでしょう。ゆえに、いざというときのため有給休暇を残しておく風習があり、積極的に消化しようとはしません。ところが、ドイツでは「有給休暇」と「病気休暇」が明確に区分されているので、余暇のためだけに有給をとるのが常識です。ちなみに、病気休暇は最大で年間6週間まで許されており、しっかり給与も保証されています。

こういった、休暇をとりやすい環境がモチべーションの維持につながり、ひいては生産性の向上に結びつくのでしょう。

効率重視! ドイツにおける働き方

もちろん、ただ休暇がとりやすいだけでは仕事になりません。社員が突然休んでも業務がストップしないよう、様々な工夫がなされています。

例えばドイツでは、ある仕事に対して複数のチームで臨むような働き方が一般的です。これは、複数人で情報を共有しておくことで、対応できる人員を増やす目的があります。社内の共有ファイルでデータを保管しておくことで、担当者が休暇に入っても業務が滞りなく進むようになっています。

働き方の方針に関して、もうひとつ日本と大きく異なる点があります。日本では「上司>部下」という構図がはっきりしていることから、有給の申請など、自分の意見を通しやすい環境とはいえません。しかし、ドイツ人の考え方は「役職=役割」というものに近く、日本に比べて非常にフラットな職場環境になっています。そのため、地位に関係なく自分の意見を主張することができるのです。

職務内容についても細かく決められているので、自分が判断できる案件に関しては上司の許可さえ必要ありません。こういった工夫によって労働時間が短くなるばかりか、業務効率を高めることが可能になっています。

ドイツに学ぶ働き方改革

ドイツの「働き方」

端的にいうと、ドイツでは仕事とプライベートを明確に分け、プライベートを最優先する考え方なのです。「建て前」というものが存在しないため、意見が対立することも少なくありません。しかし、これが結果として非常に優れた生産効率を可能にしました。

歴史や文化が異なりますから、全てを真似することは難しいです。しかし、ひとつの指針として捉えるのであれば、ドイツの労働モデルやマインドは今の日本にとって、大変参考になるのではないでしょうか。