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エレベーターのメンテナンス 「月々のメンテナンス」と「法定検査」の違いとは?

エレベーターは生活になくてはならない便利な乗り物でありますが、同時に無人で動くとても高性能な精密機械です。

無人で垂直移動する機械を安全に運行させるには、その機械が十分な性能を常に発揮できる状態に保たなければなりません。

ですから、エレベーターは基本的には毎月1回程度のメンテナンスを、熟練した作業員が行うことが一般的です。

ただし、この毎月のメンテナンスは実はエレベーターの所有者が任意で行なっているもので、法律上では1年に一度の「法定検査」を行い、検査項目がクリアされていれば良い、とされています。

今回は「月々のメンテナンス」と「法定検査」の違いを知り、月々のメンテナンスがなぜ必要であるのかに触れたいと思います。


「月々のメンテナンス」と「法定検査」の違い


まず、「月々のメンテナンス」と「法定検査」はそもそもの目的が違うと言えるでしょう。

法定検査は1年間に一度、そのエレベーターの安全性が基準をクリアしているかどうかを評価することを目的としています。

国土交通省令で定められた点検項目に基づき、エレベーターの安全に関わる部品や装置を検査し、異常がないことを確認します。

これはあくまで「検査」であって機能維持や保全のための作業とは言えません。

それとは違い、月々のメンテナンスは安全性の維持と機能の向上を目的としています。

法定点検で確認すべき項目に加え、様々な箇所の保全活動をして、エレベーターの故障を未然に防ぎ、安全性と快適性を維持させます。

つまり、「毎月のメンテナンス活動の結果としてエレベーターの安全性が保たれている」ということを法定検査で確認すると言えるでしょう。


法定検査の項目


それでは法定検査の項目とはどのようなものなのでしょうか。

法定点検では、下記の主要項目を中心に、約100項目にわたる詳細な検査が行われます。

■機械室の検査


巻上機–モーター、ブレーキ、ギアなどの状態を確認します。

制御装置–エレベーターの制御を行う制御盤の動作を確認します。

配電設備–電気配線や絶縁状態を確認します。

安全装置–調速機、緊急停止装置などの動作を確認します。

機械室–機械室内の換気や照明設備の確認をします。


■昇降路内の検査


レールやガイドシューなどの状態を確認します。

昇降路内の照明や換気設備を確認します。


■かご室の検査


かご室の構造や内装材の状態を確認します。

ドアの開閉装置などの動作を確認します。

照明や換気設備を確認します。

操作ボタンや表示灯の動作を確認します。


■着床装置の検査


各階の停止位置や段差を確認します。

ドアの位置や開閉速度を確認します。


■その他の検査


ワイヤロープの摩耗や損傷を確認します。

カウンターウェイトの重量や状態を確認します。

緩衝機の性能を確認します。


法定検査の方法と報告



上記の検査項目について、国家資格である「昇降機等検査員」を持ったスタッフが、目視や計測器での測定により検査を行います。

そして検査結果は、検査報告書にまとめられ、関係機関に提出されます。 また、建物の管理者にも報告されます。


毎月のメンテナンスの必要性


エレベーターの毎月のメンテナンスは、上記のように行われる法定点検では確認できない軽微な不具合や異常を早期に発見し、重大な事故を未然に防ぐために必要だと言えるでしょう。

法定点検では年に1回しか行われないため、毎月のメンテナンスでは、法定点検の合間に発生した軽微な不具合や異常を早期に発見することができます。

異常な音や振動、操作ボタンの不具合など、乗客が気付かないような軽微なサインも見逃さずに発見することで、重大な事故につながる前に問題を解決することができます。

定期的なメンテナンスによって、エレベーターの部品の劣化を抑制し、安全性を向上させることもできます。

このように、法律上では年に一度の法定点検が義務付けられているのみですが、安全性の確保には毎月のメンテナンスが欠かせません。

もちろん、安心して任せられるメンテナンス会社に業務を任せることが大切です。

信頼できる業者に定期的なメンテナンスを依頼することを強くお勧めします。

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一般社団法人 日本エレベーター協会–保守点検・管理責任者の必要性