数百戸を超えるような大規模なマンションや
集合住宅ではエレベーターは欠かせない移動手段です
稼働率も高く、常に誰かが乗っていていつでも動いているようなエレベーターもあります。
そんなエレベーターがもしも使えなくなってしまったら、どうなるでしょうか。
子供や若い人は5〜6階の階段をエレベーターを上ったり降りたりするのはそれほど苦にもならないかもしれませんが、高齢者やベビーカーを押す方などにとってはエレベーターなしでの階数移動はほとんど不可能に近く、住民の生活は一気に困難なものになってしまうでしょう。
ですから大切なエレベーターが古くなって完全に使えなくなってしまう前に、計画的にリニューアルのプランを練っておく必要があります。
それでは、大規模なマンションや集合住宅でのリニューアルに必要なプランニングとはどのようなものでしょうか。
SECのエレベーターリニューアル
必ず抑えておきたい、最低限必要になる機能とは
高齢者に配慮したユニバーサルデザイン
様々な人が暮らす大型マンションでは、特に高齢者や体の不自由な方に対する配慮が求められます。
手すりや鏡はもちろんのこと、腰の高さくらいにある副操作盤を設置すれば小さな子供から車椅子の利用者まで誰もが便利に利用できます。
副操作盤で操作された指示(目的階ボタンを押したり、開くボタンを押すなど)では、通常の操作盤を押す指示に比べてドアの開いている時間が少し長くなり、車いすの乗降やベビーカーの乗降にも余裕を持つことができます。
さらに「開き延長ボタン」などがあると、大きな荷物の出し入れや引越し時など、たくさんの荷物を運ぶ場合にも便利になります。
ボタンを大きくして押しやすくするなどの工夫も必要でしょう。
スムーズな乗降ができるように
高齢者への配慮でドアの開き時間を延ばしすぎているとエレベーターの待ち時間が長くなり、イライラにつながることもあります。
ドアの開閉時間の短縮機能があると利便性が高まるでしょう。
ただし、ドアセンサーをつけるなど安全性に最大限配慮することが必要です。
ドアセンサーは、かごの出入り口全面に赤外線を設けて、ドアが閉じる際にセンサーが感知すると閉じかけたドアが開く仕組みになっています。
また、かごと乗り場の敷居の間隔はなるべく狭い方が望ましいでしょう。
敷居の間隔が広いとかごと乗り場の高さがぴったり同じでもつまずいてしまう場合もありますし、カギなどを落として昇降路内に入ってしまう場合もあります。
快適な空間に
多くの人が使うエレベーターですから、誰もが居心地良く感じる空間作りも大切です。
照明はなるべく明るく、操作盤のインジケーターもデジタルで見やすいものを選ぶと良いでしょう。
空調にも配慮して、かご内の空気をいつも清潔に保てるような機能があると快適さはさらにアップします。
夏は涼しく、冬は暖かく室内温度を保てるような機能があることも望ましいでしょう。
災害対策
多くの方が利用するエレベーターですから、災害対策は最も重要な機能といえます。
停電時に自動的に最寄り階に停止する機能や、蓄電池を設置し停電後も一定時間エレベーターを稼働させる機能があると便利です。
その他地震時管制運転機能や火災時管制運転機能、浸水時管制運転機能などさまざまな対策を考えておく必要があります。
BCP対策としての準備も必要と言えるでしょう。
既設エレベーターの安全確保の促進(交付金・補助金)–国土交通省
できれば加えておきたいオプション機能や配慮すべき項目は
ペットボタン
大規模マンションなどでも「ペット可」になっている物件も増えているようです。
エレベーターにも「ペットボタン」が設置できます。
ペットボタンは、ペット同伴でエレベーターに乗っていることを他の利用者に知らせるためのボタンで、ボタンを押すと、ペットマークなどが点灯し、他の利用者がペットがいることを認識することができます。
犬や猫などが単純に苦手だったり、アレルギーを持っている方などがペットと同乗しないように配慮することができます。
ペット同伴可能なマンションでも、ペット同伴のルールやマナーを明確に示しておくことも重要でしょう。
スマートフォンとの連携機能
近年ではスマートフォン連携機能が搭載されているエレベーターも多数あります。
スマートフォンアプリを使って、離れた場所からエレベーターを呼び出したり、エレベーターの混雑状況を確認することができます。
待ち時間の短縮ができたり、混雑を避けてエレベーターを利用することが可能になります。
防犯のための機能
多くの人が安全に生活するために、防犯の機能も必要かもしれません。
客室内やドア付近にカメラを設置し、映像を記録することで、不審者の侵入や犯罪行為の抑止効果を期待できます。
記録された映像は、ハードディスクレコーダーなどに保存され、後日確認することができます。
完全停止期間を少なくする配慮
多くの人が使用するエレベーターは、大規模な集合住宅では欠かすことのできない乗り物です。
完全に停止してしまう期間があると1日とて生活に困窮してしまうでしょう。
複数台並んだエレベーターが利用できる環境であればまとめてリニューアルするのではなく、1台ずつ計画性を持ってリニューアルすべきでしょう。
工事費用としてはまとめて工事してしまった方が効率的で安価になるケースもありますが、住民すべての方の利便性を考えれば多少割高になったとしても、必ず1台はエレベーターが使える、という状態にしておくべきでしょう。
また、リニューアル工事の方法によっては完全停止期間をかなり短くするプランがあります。
リニューアルの実績が豊富なエレベーター会社に相談してみると、実情にあったプランを提示してくれるはずです。
まとめ
すべてのマンションにこのような設備を設置するのは難しいかもしれませんが、高齢者が多いマンションや、バリアフリー対応を重視する施設では、積極的に導入していくことが望ましいです。
高齢者など、行動に制限が多い方にとって使いやすいエレベーターを設置することで、誰もが安心して暮らせる施設づくりに貢献することができます。
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