避けられないエレベーター部品の老朽化
エレベーターは安全性や快適性が求められる社会に必要不可欠な乗り物です。 しかし、長年の使用により部品の老朽化が進み、機能が低下することがあります。 今回は、エレベーターで老朽化しやすい箇所または時代にそぐわなくなりがちな箇所について解説します。エレベーターで老朽化しやすい箇所
まず、エレベーターで老朽化しやすい箇所については以下のようなものが挙げられます。
ドアの開閉部分
長年の使用で摩耗や故障が起こりやすく、ドアがスムーズに開閉しなくなったり異音が発生することが多々あります。
巻上機モーター
まさにエレベーターを動かす原動力であるモーターは、経年劣化により出力が低下し、動作が不安定になることがあります。
エレベーター制御装置
エレベーターの動作を制御する装置も、多くの電子部品が劣化することで、故障リスクが高まります。
ワイヤーロープ
エレベーターを吊り上げるワイヤーロープは、経年劣化により素線切れや破断が起こり、安全性に問題が生じる可能性があります。 かご内照明 蛍光灯タイプのかご内照明が老朽化すると照度が下がり、かご内が暗くとても印象が悪くなります。
時代にそぐわなくなりがちな箇所
次に、エレベーターで時代にマッチしなくなりがちになる箇所ですが、以下のような項目が考えられます。
かご内デザイン
エレベーターの内外装デザインは、時代の流行に左右されやすく、古めかしい印象を与えることがあります。
かご内操作パネル、乗り場ボタン
最近のエレベーターではタッチパネルや音声案内など、使い勝手が向上した操作パネルが普及していますが、古いエレベーターでは操作性や機能性が劣ることがあります。
省エネ性能
現行のエレベーターは省エネ性能が高く、ランニングコストが低く済みますが、古いエレベーターでは消費電力が高く、維持費がかさみます。
遠隔機能
最新のエレベーターには、故障時に遠隔地から情報を収集したり、メンテナンススタッフと連携できる通信機能が搭載されています。古いエレベーターにはこのような機能がないケースがあります。
安全機能
最新の地震時安全装置や停電時安全装置は機能性が向上し、より安全性が増しています。
以上のように、エレベーターでは機構や機能が経年劣化により老朽化し、
また、デザインや性能面で時代にそぐわなくなる箇所が存在します。
これらの箇所を定期的に点検・メンテナンスし、場合によっては改修やリニューアルを行うことで、
エレベーターの安全性と使い勝手を維持・向上させることができます。
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部分リニューアルと全体リニューアル
それでは老朽化したエレベーター部品の交換には、どんな選択肢があるのでしょうか。大きく分けると、「部分リニューアル」と「全体リニューアル」の2つになります。
それぞれどのような特徴があるのか、最適な選択肢の見極め方について説明します。
まず、「部分リニューアル」ですが、使える機器は残しながら必要な部分のみの取り替え工事をする方法です。
例えば巻上機は残しながらモーターのみを交換し、
制御盤、操作盤、制御ケーブル、安全装置などを最新機器と交換するような方法があります。
かご内の意匠は操作盤以外は交換しないケースもあり、
費用を抑えながら安全性を向上させる方法だと言えるでしょう。 工期が比較的短くて済むというメリットもあります。
ただし、このタイミングで交換しなかった部品もいずれは交換することになりますので注意が必要です。
一方、「全体リニューアル」は、エレベーターのかごやドアなどの鋼材はそのまま利用するものの、
巻上機全体、制御装置、かご内デザインを一新する方法です。 昇降路内の安全装置なども一新され、安全面だけでなく快適さもアップします。
もちろん「部分リニューアル」に比べると費用、工期ともに多くかかることになります。
ただし、一度に交換すべき機器を交換してしまうので、しばらくの間は交換工事は必要なくなります。 トータルで見ればコストパフォーマンスがいいのは「全体リニューアル」の方かもしれません。
また、「全撤去リニューアル」という方法も存在します。
こちらはかご室やドアや三方枠に至るまですべての部品を撤去して交換します。 当然工期も費用も大幅に増大し、しかも建築確認申請の届出も必要になるので手続面でも手間がかかります。 それでも、駆動方式を変えて、全く新しいエレベーターにするためにこちらを選ぶケースもあります。
以上のポイントを考慮し、最適な選択肢を見極めることが重要です。
専門家の意見も参考にし、建物に適したエレベーターのリニューアル方法を選択されることをお勧めします。
参考
昇降機更新工事における建物状況に応じた改修工法の採用について
エレベーターリニューアルの詳細はこちら