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東京電機大学「小平研究室」 ゼロから学生が手作りするレーシングカーが世界のフォーミュラSAEに挑戦し続ける!【Part3(全4回)】

チームリーダー・新垣繁輝さんに聞く・「こんなに充実した学生生活になるとは!」

夢工房の愛称を持つ「小平研究室」に在籍する学生は約20人。
フォーミュラSAEのチームのほかに、人工衛星の打ち上げや、燃費の良さを競うエコランカーに携わっているチームもあります。
学生たちは、どんな思いでチームに参加しているのでしょうか。
フォーミュラSAEのチームリーダーである新垣繁輝さんに、入部した当時の話や、いまの様子を聞いてみました。

「怖くて先生と話せなかった」


Q.このチームに参加したいきさつや、日ごろの活動、現在の心境について教えてください。
 
新垣さん:
ぼくは大学受験で1浪してしまい、希望の大学としてここへ入ったわけではありません。
ですから、このチーム「小平研究室」のことを知っていて、それを目指して入学したクチではないのです。

メンバーの半分くらいは、最初からこのチームを目的に入学しています。
それに比べればぼくは能天気なものでしたが、でも、この大学でこのチームに出会え、ラッキーでした。

チームを知ったきっかけは、大学に入学した4月にあった学生集会です。
そこで紹介されているのを見て、「面白そうなことをやっているな」と。

でも、ワクワクして、作業着まで買って入ったら、希望のフォーミュラではなく、エコランカーの担当に……。
最初は戸惑いました。

それと、ぼくはバイトをしていたので、周りに「お前は活動時間が短い」といわれてしまって(笑)。
確かに、バイトをやっていたのは自分だけでした。

そんなこんなで、ホントに1年のときは「ダメダメ人間」でしたね。

小平先生にアプローチしたこともなかったです。
なにしろ、先生が怖く見えていましたから。

「こころ」が変わり、楽しくなった


Q.でも、今はチームリーダーです。どこで何が変わったのですか?
 
新垣さん:
何でしょう……。
1つの大会が終わったあと、先生から新しい任務をいただいたんですね。
そのとき急に、「よし、やってやろう」と思えたんです。「ダメダメ人間」だっただけに、先生から任務をもらえたことがうれしかったのかもしれません。

先生はよく「技術は人なり」といって「こころ」の大切さを諭されるのですが、本当にそうなのかもしれません。
任務が与えられて、それに向き合うようになった途端、取り組むことが楽しくなってきました。

ポジティブになってきたというか、失敗を恐れないようにもなってきたんですね。
すると不思議なことに、以前はできなかったことも、できるようになったんです。

積極的になっていますから、当然、小平先生のもとにも指導を仰ぐようになります。
すると先生も応えてくれて。「ああ、ぜんぜん怖くない先生なんだ」とわかりました(笑)。

やっぱり、積極的にかかわるようになってから、自分の見方も変わっていったように思います。

仲間との一体感。そして、最高の環境


Q.大会などはどうですか? 海外での大会は、学生にとっては貴重な体験と思われますが。
 
新垣さん:
海外のチームは本当にすごいと実感しました。
レベルそのものも非常に高いのですが、それ以上にびっくりさせられるのがその発想力です。
大会でほかの車を見て歩くと、「こんなんありか?」という驚きの連続です。
考え方が自由で、固定観念に縛られていない。あれから比べると、やっぱり日本は型にとらわれているんだな、と思わざるをえません。
外から日本を見られたのは、本当に良い経験でした。

そういうびっくり体験も含めて、大会では刺激ばかりです。
仲間との一体感も財産だと感じています。
大会直前は大変で、泊まり込みで夜中まで車体作りの作業をしたり、食事は学校近くのコンビニで済ましたりは当たり前です。
でも、そういう困難を共にして、チームが一つになっていきます。
チームリーダーとしては、基本的にはみんなを信じていまして、みんながその気持ちに応えてくれるので嬉しいですね。


Q.将来の職業などはイメージされていますか? 小平研究室で学んだことは、相当に専門的なことだと思いますが。
 
新垣さん:
できればF1のチームや、レースカーのメーカーに行けたらいいなと思っています。
そういう先輩もいますので。新卒でF1の設計に携われることができたら、最高ですね。

このチームはOBとの関わり合いも深くて、第一線で活動するプロの方もときどき顔を出してくれます。
OBたちは、「いま、どんな感じで仕上がっているの?」と車を見てくれたりするのですが、そこでの指摘は本当に鋭いんです。
すごく勉強になります。

そういう環境も含めて、先生との出会いや、仲間との絆、そして自分自身の成長など、本当に価値ある大学生活となりました。
この研究室に入って本当に良かったなと思っています。

Part.4へ続く

 
新垣繁輝 チームリーダー
(プロフィール)
東京電機大学 (理工学部理工学科3年)
フォーミュラSAEプロジェクト チームリーダー
サスペンション設計・製作担当



PART1.『東京電機大学・小平講師に聞く・フォーミュラSAEとの出会いと今』
PART2.『東京電機大学・小平講師に聞く・フォーミュラSAEで得られるものとは!?』
PART3.『チームリーダー・新垣繁輝さんに聞く・「こんなに充実した学生生活になるとは!」』
PART4.『東京電機大学・小平講師に聞く・これからの学生へ伝えたいメッセージとは!?』